中小企業の事業譲渡のメリット・デメリット

●後継者不足を解消してくれるM&A

後継者不足に悩み中小企業の中には、廃業を選択する他にM&Aが増えています。
中小企業のM&Aでは、株式譲渡によるM&Aが全体の約9割だと言われています。
会社がなくなると、従業員が再就職先に困り路頭に迷ってしまう恐れが出てきます。
しかし、後継者がいない会社を中堅企業や大手企業に買ってもらうことで、会社を存続させることができるのです。

株式譲渡

M&Aにおける株式譲渡スキームは、売り手(M&A対象会社である株主)と買い手の間で行われます。あくまでも取引は会社ではなく、株主同士が行います。

売り手は、買い手に対して株式を受け渡して、買い手はその対価を支払うという単純な取引です。このことによって、そのM&Aの取引対象となっている対象会社の株主が、売り手から買い手に代わっていくというのが、株式譲渡のスキームです。

事業譲渡

事業譲渡では、売り手というのは対象会社となります。会社の一部或いは全部の事業を買い手に買ってもらうという形になります。
売っている売り手そのものが、会社になる訳で、その事業を受け渡して買い手はその対価を支払うというのが、事業譲渡スキームとなります。

事業譲渡のデメリット

大企業にとって事業譲渡は、デメリットの方が多いため事業譲渡はあまり使われません。これは、事業譲渡の際に原則として株主総会特別決議が必要だからです。上場企業にしてみると株主総会を開くということは、時間と費用がかかることになるため簡単にできることではありません。

但し、大規模でない企業にとっては、株主総会は殆ど家族や親族がメインとなりますので、事前に話を付けておくことができれば、事業譲渡をするメリットはあります。株主総会議事録にしっかり記録し、事実を残しておけば済むことです。

それから、従業員や取引先が多数ある場合、手続きが煩雑になることが考えられます。事業譲渡すると、取引先や従業員が全て買い手の会社に譲渡されます。今まで働いてきた従業員は、元々の会社を一旦辞めて、新しい会社に入社し直す必要があります。株式譲渡だと、株主が変わるだけなので、雇用形態は何も変わりません。ですが、事業譲渡だと雇用契約を全て巻き直す必要があります。同様に、取引先との契約もやり直すことになります。

事業譲渡のメリット

事業譲渡では、一部の事業のみを譲渡対象とすることが可能です。複数店舗を持っているうちの1店舗だけ売却したい時など、容易に行うことができるというメリットがあります。

それから、事業譲渡では簿外債務を引き継ぐことがありません。簿外債務とは、帳簿に載っていない債務です。事業譲渡の契約に簿外債務を引き継ぎます、と書かれる訳がないので、簿外債務を引き継ぐ可能性はほぼゼロです。デュー・デリジェンスのコストもかなり押さえることができるので、規模の小さい企業にとっては、これもメリットになります。

増えているM&A

リーマンショック以降、M&Aの件数は右肩上がりに増えてきています。
ピーク時の2006年を上回る件数ではありませんが、後継者不足を解消するためのM&Aは目立ってきています。
海外の企業が国内の企業を買収する件数は減少傾向にありますが、国内の企業が国内の企業を買収する傾向が強いことからも後継者問題は深刻であることが分かります。
M&Aをする際には、株式譲渡と事業譲渡どちらが適しているのかしっかり見極めることが重要です。

コメントは受け付けていません。